November 2022 Workshop

「TAKAGI KAORU 粘土で左官Workshop」

 一軒家を粘土で塗り込めていくことは、山中温泉の景色を塗り替えることにならないのだろうか。
photographer: Yuuki Nishihana, Hironobu Sagara

山中温泉の町の建物を陶粘土を使って左官制作をしていくプロジェクトです。町の子供や大人達、他県の子供や大人達と共にこの今は使われていない納屋をこれから「皆が集える東屋」に変えていこうと思うのです。 私たちはいつも自然の産物、または建築やオブジェという物質で景色を変えていくのだと思いがちです。 でも私の思う「景色を変える」とは、出会うことの無かった人々が、携わったこともなかったことに手を動かし、心をふるわし、 共にした時間でささやかなが言葉を交わすことからしか始まりません。 その皆で過ごす時間が景色となって表に現れたものを「作品」と言います。 制作とは誰もが関わることができるのものです。 それを見たい、知りたい、触りたい、感じたいと思うことで人は集うのです。

TAKAGI KAORU

『秋から冬へと変わるこの時期 vol 1 プロジェクト』


この納屋の内壁面に参加者の思いを込めて左官制作していきます。 陶芸に使われる粘土にベンガラという顔料と水と銀杏草(糊)を混ぜ込み、泥にします。 それを壁に手で塗っていきます。 その際に参加者の皆さんにはあるものを持ってきていただき、それを壁に塗りこめていただきたいのです。 そのあるものとは。 「赤いもの」を一つ持ってきてみてください。 ベンガラとは酸化鉄顔料です。 この荒谷町の特徴でもある赤瓦も鉄が含まれた釉薬が施されています。 赤瓦の名の通り、陶芸の世界では鉄は赤と表現されます。 「赤」は「明るい」の語源からきています。「あからさま」(明白)のような使い方です。 「明るい・日向」と感じるには必ずその反対の「暗い・陰」を知ってなければいけません。 これは常々忘れてはいけない、物事には対極があるということです。 この東屋が常にどの方向から人がやってきても、雨くらいはしのげる、少し身を寄せられる場所になることを願いつつ 皆でその思いを込めてベンガラ粘土と赤いものを壁に施してみたいと思います。

完成作品

photographer: Yuuki Nishihana

制作風景

photographer: Hironobu Sagara